2025年6月11日に国際人間科学部「越境文化社会論」(グローバル文化学科)において、観光地域づくりをテーマとしたゲストレクチャーを開催しました。福井県大阪事務所と福井県観光連盟(DMO)の協力を受けて、福井県観光連盟の佐竹正範?地域づくりマネージャーをお招きし、「観光地域づくりというキャリア」をテーマに講演していただきました。

講師の佐竹正範さんは、神戸で学び、東京でキャリアを積んだ後、自身の故郷を観光で元気にしようと全国各地を東奔西走している観光地域づくりの第一人者です。神戸大学でも観光による地域振興に関心を持つ学生は年々増えていますが、そういった学生にとってのロールモデルといえます。今回は国際文化学研究科(Promis地域連携センター)の公開セミナーでもあったため、履修者でない学生もつめかけ、神大生の関心の高さがうかがわれました。

今回のゲスト講義では、神戸で被災して学生ボランティアに打ち込んだこと、インターネットの黎明期に衝撃を受けたこと、という二つの原体験から、ヤフーでテクノロジーとマーケティングを活かして官と民、地域と個人を結びつける仕事をしながら研鑽と経験を積み、そのキャリアを東京、北海道美瑛町、沖縄、福井などで活かすという道のり、つまり、温泉地として知られる自身の故郷(あわら市)を観光で面白くするという高校時代からの志をいかに実現させていったかということが語られました。

講演を行う佐竹正範さん

また、佐竹さんが福井で主導している観光客に関するデータの収集と活用についても説明がありました。福井県は、観光データシステム(FTAS)を全国に先駆けて構築し、先進国(G7)観光大臣会合で紹介されるなど、観光DX先進地としても知られています。FTASは国際人間科学部の観光まちづくりゼミでも教材として用いられており、今後も教育や研究での活用が予定されています。国際文化学部グローバル文化学科は、観光分野を通じてグローバルとローカルとつなぐ教育研究や地域連携を推し進めています。

講義の最後には、ヤフー時代に上司から受けた言葉とともに、福井の代表的な観光地でもあり、スティーブ?ジョブズも憧れたという永平寺(禅宗)の教えが学生へのメッセージとして紹介されました。レクチャー最後のキーワードは「縁」。ツーリズムEXPOの出展を通じて福井県観光連盟とつながりができ、今回のゲスト講義が実現しました。講義修了後の雑談で佐竹さんの配偶者が受講生たちの先輩(当時の国際文化学部ご出身)であることがわかりました。福井からお越しくださった佐竹さん、開催のために労を取り教室にも来てくださった福井県大阪事務所の橋本直之?所長と黒田久則?副所長とのご縁に感謝申し上げます。

(国際文化学研究科)